ブレア・アソール駅は、ハイランド本線を行く列車が一瞬ためらい、山の懐へ身を預け直すような場所にある。ティルト川とギャリー川が静かに合流する平地は、グランピアン山脈のただ中にあって奇跡的に拓け、古語に由来する地名がその来歴を慎ましく語っている。
駅を降りると、空気はわずかに湿り、野原の匂いと鉄路の余韻が混ざり合う。やがて白亜のブレア城が姿を現し、ジャコバイト蜂起や私兵アソル・ハイランダーズの歴史が、丘の陰からこちらを窺う。蒸気機関車の都合で水道まで鉄道が担ったという奇妙な縁も、この土地では不思議と自然に思えてくる。ブレア・アソール駅は、旅人を物語の内部へ静かに引き込む、入口としての駅である。
ブレア・アソールの駅近く