アックナシーン駅は、荒野の只中に忽然と現れる記憶の交差点である。十九世紀、線路はここで一度息を整え、ウェスター・ロスの奥地へ人と郵便と夢想を送り出した。駅舎に併設されたホテルは旅人の体温を溜め込み、拡張を重ねて時代の期待に応えたが、炎に呑まれ、今は想像の中にだけ建っている。
終着駅として賑わった日々は過ぎ、道路が主役となった今も、列車は律儀に谷を縫う。小さな村名が広い郵便地区を背負うのは、かつての中心であった証である。さらに冷戦の影が残した地下の監視所は、静かな風景に異様な深みを与える。ここに立てば、鉄道と歴史と人の思惑が、霧のように重なり合うのを感じるだろう。
アックナシーンの駅近く