アカナルト

Achanalt

アカナルト駅は、鉄道史の潮流を幾度もくぐり抜けながら、今も山と水の境目に息づく。霧に沈む線路の向こうには、発電所の低い唸りと、湖に呑まれた館や城の記憶が漂う。名士の営んだ宿、相続された地所、そして水没という静かな別れが、この谷に重なり合う。

発電の光は過去を消すのではなく、輪郭を浮かび上がらせる。急斜面の墓地に立てば、空を切り拓いた飛行士の名が風に磨かれ、遠い志が今に触れる。列車を降りる理由は十分だ。ここは、失われたものと受け継がれたものが、同じ景色に同居する場所である。

アカナルトの駅近く

update: 2024年3月31日