
新宿ミロードは、まことに不思議な空間であった。
1984年に忽然と現れ、2025年3月16日をもって、静かに姿を消す。小田急線改札横のエスカレーターに足をかければ、そこはもうミロードの領域。喧騒と光が入り乱れ、うっかりすると異世界に迷い込んだかのような錯覚すら覚える。
モザイク通りには、文房具の誘惑が待ち構えていた。手に取れば、なぜか買わねばならぬ気がしてくる。前方にはFM局、その傍らにクッキー屋が控え、甘やかな香りが新宿の空気と混じり合っていた。そう、ミロードとは、新宿の片隅にぽっかり開いた小宇宙であり、街の若者たちがこっそりと記憶を隠し持つ秘密の場所だったのである。
かつて、私もその一部であった。10代から20代の数年間、ここでアルバイトに励んだ。妙に忙しく、それでいて笑いの絶えぬ日々。新宿の喧騒とともに、幾度となく繰り返された仕事の風景は、今なお鮮明に脳裏に焼き付いている。そして何より、人生で最も楽しかったアルバイトであったことは疑う余地もない。
だが、時の流れは残酷である。ビルは老い、街は変わる。ミロードは、何事もなかったかのように消え去ってしまう。あのエスカレーターの高揚感も、モザイク通りの心地よいざわめきも、もう二度と戻らぬ幻となるのだろう。
けれど、最後にミロードはそっと言った──「卒業おめでとう、わたしたち。」
これは、消えてゆくものたちが残した、ひそやかなエールである。過去へと旅立つミロードに、私たちは手を振る。そして、ふと気づくのだ。新宿のどこかで、あの思い出たちはひっそりと生き続けているのだと。











ここで休憩し

ここでアルバイトに励むのであった
株式会社小田急SCディベロップメント(本社:東京都新宿区 取締役社長:細谷 和一郎)が運営する新宿駅直結の商業施設「新宿ミロード」は、小田急電鉄株式会社・東京地下鉄株式会社・東急不動産株式会社の共同事業「新宿駅西口地区開発計画」の進捗に伴い、2025年3月16日(日) 20:00をもって閉館いたします。
閉館に際して、新宿ミロードから最後のメッセージ「卒業おめでとう、わたしたち。」を展開します。また、2024年10月4日(金)から開始した「新宿ミロード フィナーレキャンペーン」のラストを飾る「おしまいのFINAL7DAYS」を、2025年3月10日(月)から3月16日(日)に開催します。閉館セールのほか、新宿ミロードからの感謝の気持ちを込めたノベルティプレゼントなど、40年分の感謝を込めて新宿ミロード最後となるキャンペーンを実施します。閉館まで皆さまのご来館をお待ちしております。 (プレスリリース)
「新宿ミロード」、16日閉館 駅周辺で再開発―小田急グループ
時事通信 経済部 2025年03月15日15時20分配信
小田急電鉄のグループ会社が運営を手掛ける新宿駅直結の商業施設「新宿ミロード」が、16日に閉館する。10~20代の若年層を主なターゲットに衣料店や飲食店などをそろえてきたが、駅周辺の再開発計画に伴い、約40年の歴史に幕を下ろす。
新宿ミロードは小田急電鉄の新宿駅真上に位置し、1984年10月に開業。区画内に新宿駅西口と南口をつなぐオープンモール「モザイク通り」を設置することなどにより、駅周辺のにぎわいをつくってきた。
モザイク通りは2023年3月に営業を終了。新宿ミロードの閉館後、小田急電鉄は解体に着工し、29年度までに跡地に地上8階、地下2階建ての商業施設を建設する予定だ。