どうしたカーン - 楽しい楽しいバイエルン・ミュンヘン

公開日:2004/02/26
どうしたカーン

誰にも想像できないカーンのミスだった。ロベカルのFKにはいつもの迫力はなく、近くにいたMFベッカムも「カーンは世界トップのGKだ。入るはずがない」と思った。だが、低い弾道に飛び込んだカーンは球を後逸した。いったんは手でつかみ、倒れながら腹に抱え込もうとしたが、滑るようにボールは左脇と地面のすき間を抜け、ゴールラインを越えた。
味方はぼうぜん。ロベカルは照れ笑い。カーンは怒りさえ忘れていた。
「悲劇としか言いようがない」というヒッツフェルト監督の言葉が象徴的だ。背中と腰に故障を抱えるカーンは、痛み止めの注射を14本も打っての強行出場。気管支炎のMFバラック、太もも負傷のDFコバチも歯を食いしばって先発した。ボール支配率は51%対49%、シュート数は17本対4本とレアルを圧倒した。8分前にはFWマカーイが先制点を挙げ、勝利を手元に引き寄せたが、すべてぶち壊しになった。

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バイエルン(ドイツ)の守護神、GKオリバー・カーン(34)がまさかの失態を演じた。Rマドリード(スペイン)戦の後半38分に、相手DFロベルト・カルロス(30)のFKを、いったん手に収めながらも後逸した。痛恨のアウエーゴール献上。試合は1-1で終わったが、ホームで内容も勝っていただけに、敗戦に等しい引き分けとなった。

誰にも想像できないカーンのミスだった。ロベカルのFKにはいつもの迫力はなく、近くにいたMFベッカムも「カーンは世界トップのGKだ。入るはずがない」と思った。だが、低い弾道に飛び込んだカーンは球を後逸した。いったんは手でつかみ、倒れながら腹に抱え込もうとしたが、滑るようにボールは左脇と地面のすき間を抜け、ゴールラインを越えた。
味方はぼうぜん。ロベカルは照れ笑い。カーンは怒りさえ忘れていた。
「悲劇としか言いようがない」というヒッツフェルト監督の言葉が象徴的だ。背中と腰に故障を抱えるカーンは、痛み止めの注射を14本も打っての強行出場。気管支炎のMFバラック、太もも負傷のDFコバチも歯を食いしばって先発した。ボール支配率は51%対49%、シュート数は17本対4本とレアルを圧倒した。8分前にはFWマカーイが先制点を挙げ、勝利を手元に引き寄せたが、すべてぶち壊しになった。

今季のカーンには以前ほどのカリスマ性がない。開幕前には愛人問題のゴシップや移籍騒動があった。ブンデスリーガでは20試合22失点。先週にはドイツ代表で控えGKのレーマンに「彼は私生活に問題もあるし、今は僕がNO・1のGKだ」と挑発された。レーマンはアーセナルでリーグ戦無敗、26試合で17失点という安定感だ。腰の故障だけでなく、精神面でも揺さぶられていた。

名門対決は意外な形で明暗が分かれた。「いい試合運びだったのに、引き分けとは」とマカーイが声を落とす。さらにDFリザラズが試合中に負傷した。

だが、逆境に強いのもゲルマン魂。真価が問われる第2戦は3月10日だ。試合後は口を閉ざしたカーンだが、バイエルンと世界最強GKの名誉をかけて、再びレアルに挑戦する。