バイエルンのスパイ - 楽しい楽しいバイエルン・ミュンヘン

公開日:2004/02/20
バイエルンのスパイ

大きなイベントは、始まる前から関係者に大きな影を落とすものだ。チャンピオンズリーグの準々決勝、レアル・マドリッド戦もそのようなビッグイベントの一つであり、ファンだけでなく、選手達にとっても特別なイベントだ。しかしこのメガイベントに向けたFCバイエルンの準備は、実はかなり前からスタートしているのだ。
その中で中心的な役割を果たすのがウォルフガング・ドレムラーだ。FCバイエルンのスカウト部部長の彼は、「チームのスパイ」として活躍している。というのもドレムラーは、海外のチームとの重要な対戦の前に、ドイツレコードマイスターの対戦相手を何度も偵察しているのだ。彼自身、彼の仕事をこう説明している。「我々は準備をするのが仕事だ。対戦相手を観察した後に詳細な分析を行い、オットマール・ヒッツフェルト監督にその情報を渡すことになる」。
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※ドイツのスパイというだけでもうどきどき
やっぱりスパイだけあって名刺のくるくるまわるやるが置いてある(意味無し)



大きなイベントは、始まる前から関係者に大きな影を落とすものだ。チャンピオンズリーグの準々決勝、レアル・マドリッド戦もそのようなビッグイベントの一つであり、ファンだけでなく、選手達にとっても特別なイベントだ。しかしこのメガイベントに向けたFCバイエルンの準備は、実はかなり前からスタートしているのだ。

その中で中心的な役割を果たすのがウォルフガング・ドレムラーだ。FCバイエルンのスカウト部部長の彼は、「チームのスパイ」として活躍している。というのもドレムラーは、海外のチームとの重要な対戦の前に、ドイツレコードマイスターの対戦相手を何度も偵察しているのだ。彼自身、彼の仕事をこう説明している。「我々は準備をするのが仕事だ。対戦相手を観察した後に詳細な分析を行い、オットマール・ヒッツフェルト監督にその情報を渡すことになる」。

そのプロセスは対戦相手によって変わるものではなく、いつも同じ行程が繰り返される。「グラスゴーに始まり、レアル・マドリッドまで全ての対戦相手を分析した。チャンピオンズリーグの対戦相手を分析する際には、3試合を現地で観戦する」。そこで重要になのが、「ホームとアウェイ、両方のゲームを観戦することだ。これが最も重要なことで、そのために3試合を観戦する」と、ドレムラーはfcbayern.deに対して語った。

現在バイエルンが分析を行っているチームはもちろんレアル・マドリッドだ。レアルのような対戦相手になると、分析プロセスも少し変わってくる。というのもドレムラーは“白い巨人”の4試合を観戦するのだ。「今回は通常よりも一試合多く観戦する」とドレムラーは語った。ドレムラーはすでに3試合の偵察を行っている。興味深いのは、実際対戦する状況を考慮して観戦する試合が選ばれることだ。「我々は初戦をホームで戦うため、より多くのアウェイゲームを観戦した」とドレムラー。

しかし偵察で得た情報を彼は明かさなかった。「暗黙の了解で分析結果については秘密を守ることになっている」とドレ-ムラーは語り、そのことについては一言も喋らなかった。バイエルンがチャンピオンズリーグで次に対戦する相手について、彼がコメントするとすれば、それは「ごく一般的な内容」であり、例えば次のようなコメントだ。「レアルは選手層から見てヨーロッパでトップレベルのクラブチームだ」。又は…「ホームであろうと、アウェイであろうと、レアルとの対戦は常に難しい」。つまりこのように「地球上の誰もが知っている事」ばかりだ。

本当に重要な情報は、オットマール・ヒッツフェルト監督だけが知ることになる。「彼には対戦相手の内情などを詳しく説明する。ビデオはグラウンドの一部しか捉えていないため、それらの情報はビデオを見ただけでは分からない」。しかしスカウト部長のドレムラーは謙虚にこう語った。「ウォルフガング・ドレムラーが決断を下すわけではない。オットマール・ヒッツフェルト監督はもちろんレアルというチームを熟知している。どの戦術で試合に臨むか、ヒッツフェルトはじっくり時間をかけて考えるはずだ。ここ数年間何度もレアルと対戦しているしね。ファイナルに進出してチャンピオンズリーグを制覇したシーズンもそうだった」。

その当時すでにウォルフガング・ドレムラーはFCバイエルンの“スパイ”として働いており、“極秘任務”を果たしてきた。しかし今日では彼を取り巻く状況も一変し、“極秘”という言葉はもう使われなくなった。「8年前にこの仕事を始めた時は、誰にも見つからずにあちこちのスタジアムに赴き、入場チケットは窓口で買っていた。でももうそのような事はない」とドレムラーは語った。

最近は公式な手順が踏まれる。「我々は入場チケット2枚を注文する。逆にレアル・マドリッドの偵察チームがミュンヘンにやってくる時も同じだ」。そしてレアルももちろんこのチャンスを逃しはしないとドレムラーは語った。「レアル・マドリッドもすでに何度かミュンヘンにやって来て、リーグの試合を観戦している。FCバイエルンが2枚の入場チケットを準備し、彼らはVIPラウンジで試合を観戦することになる。さらにそれだけではなく、彼らにはチームのスターティングメンバー一覧も渡す」。

ライバルとの間にも「友好関係」が築かれているのだ。しかしウォルフガング・ドレムラーにとって、ベルナベウ・スタジアムで最高の観客席が必ずしも偵察に最適であるとは限らない。「前回、私はベッカム夫人と彼女の息子の隣の席に座った。彼女の周りで色々な騒ぎがあり、なかなか試合に集中することが出来なかった」とドレムラーは語ったが、通常は対戦相手を誰にも邪魔されることなく、落ち着いて観戦することが出来る。スタジアムを訪れている彼に気付く人は一人もおらず、本来なら興味を示すべき関係者も全く気付かない。「ジダンが私の隣に座った時も、私がビデオで試合を撮影しているのに全く興味を示さなかった」。

ウォフルガング・ドレムラーの仕事は試合の観戦だけではなく、対戦相手の選手を観察することも仕事の一つだ。スカウト部部長のドレムラーは、ドイツレコードマイスターのチーム力を常に高く保たなければならない。レアル・マドリッドにバイエルンが獲得に興味を示す選手がいたかどうかという問いに対し、ドレムラーは笑みを浮かべながらこう答えた。「どの市場が重要かを見極めることが重要で、FCバイエルンが選手を探す市場はマドリッドではない」とドレムラーは語った。

ベテランの彼はもちろん市場のきまりというのを熟知している。「ジヌディーヌ・ジダンがレアルに移籍した当時、レアルは14億7000万ユーロの移籍金を支払った。我々が同じようなことをすることはないだろう」。しかし彼はその事実を特に悲観的に捉えているわけではない。「レアルに2勝することが出来れば最高だ」。