初めて足を踏み入れたビルボードライブ。
その名に漂う上品な響きのせいで、どこか自分には敷居が高いのではないかと身構えていた。だが扉を抜けた瞬間、その印象はふっと溶けた。
丁寧に磨かれたテーブル、客席を包む低いざわめき――すべてが心地よく整えられていて、まるで都会の夜に漂う“静かな高揚”そのものだった。
3階のカジュアルシートを選んだおかげで、かしこまらずに音楽と向き合える距離感が心地よい。グラスの水がきらりと光り、ステージの灯がゆっくりと落ちる。
現れたのは、かつてテレビの向こうで見たハワード・ジョーンズ。その髪型は、あの頃の逆立つような姿からずいぶん変わってしまったけれど、不思議と懐かしさよりも“今”の彼の姿に惹きつけられた。
キーボードの音が流れ始めた瞬間、空気がひとつにまとまる。
「ニュー・ソング」が鳴り響くと、会場は自然と手拍子に包まれた。往年の名曲が、ただの懐メロではなく、今この瞬間の熱を持って蘇る。彼が懸命に音を紡ぐ姿を見ながら、自分もまた頑張らねば、という思いが静かに胸に宿る。
1stステージでは「オンリー・ゲット・ベター」は披露されなかった。それでも不思議な充足感があった。音楽がゆっくりと夜に溶け、観客が一斉に息をつく。帰り道、ビルのガラスに映る街の灯りが、まるで一曲の続きのように瞬いていた。
Howard Jones〜BACK TO 80s ALL HITS〜
●2017/1/16(月) 〜 1/17(火) ビルボードライブ東京
1stステージ開場17:30 開演19:00
2ndステージ開場20:45 開演21:30
01.パールと貝がら
02.プリズナー
03.イーグル・フライ・アゲイン
04.かくれんぼ
05.ジョイ
06.ヒューマン・タッチ
07.悲しき願い
08.君を知りたくて
09.エヴァーラスティング・ラヴ
10.一日の生命
11.ホワット・イズ・ラヴ?
12.ニュー・ソング
13.オンリー・ゲット・ベター
80年代を席巻したニュー・ウェイヴ/テクノ・ポップのスーパー・スターがビルボードライブのステージに降り立つ! ハワード・ジョーンズはデビューした1983年、「ニュー・ソング」「ホワット・イズ・ラヴ」「かくれんぼ」が本国イギリス、そして日本で大ヒット。1985年の「オンリー・ゲット・ベター」は、全米“Billboard HOT100”で5位、1986年の「悲しき願い」が4位を記録し世界的なスターへと駆け上がった。以降、2015年のアルバム『Engage』まで、継続的にリリースとライブ活動を続けている。80sを代表するポップ・レジェンドが魅せる輝かしいライブは、世界的な80sリバイバルに沸く現代だからこそ、懐かしくも新しく響くに違いない。(Billborad Tokyo HP)

- ハワード・ジョーンズ2017来日公演は、過去と現在がシームレスに繋がる、まさに“エンゲイジ”なステージに! | ハワード・ジョーンズ | ソニーミュージックオフィシャルサイト
- ハワード・ジョーンズ 名盤2枚の再現ライヴ音源を追加した豪華3枚組の最新アルバムをリリース。1月には来日公演も。 | Daily News | Billboard JAPAN
- Howard Jones@Billboard Live Tokyo | 株式会社 ヤング・スタッフ【webアーカイブ】
- 2017.1.17 Howard Jones @ Billboard Live Tokyo:NO LIVE, NO LIFE
- ハワード・ジョーンズ来日記念 東郷かおる子(元「ミュージック・ライフ」誌編集長)インタビュー | Special | Billboard JAPAN
- ハワード・ジョーンズ、過去と現在を名曲で繋いだ5年ぶりの来日公演 | BARKS